2019年02月24日

明日香の匠展2019

2月23日から3月3日まで、県立万葉文化館にて開催されています。(入場無料)
https://asukamura.jp/takumi/artist.html

県立万葉文化館は昨年末の奈良新聞においてけっこう強めのディスり記事(ハコもの行政批判等々)が掲載されたこともあり、地域ではちょっと話題になっています。
公共の施設なんてどこも事情は同じようなモンじゃないのかなぁ、とは思いますけど、開会式での館長祝辞では内容のほとんどが記事への激アツな反駁となっていて、それはそれで興味深く聞かせていただきました。

他の作家さんの作品は、例年以上に力を入れたものが多い印象でした。
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ギター&ウクレレの新作を展示しました。

ギター:232FC
シトカスプルース・トップを黒で木地着色。
アクセントとして付けたピックガードは正倉院宝物の透かし彫り「彩文(さいもん)」柄をモチーフにしたもの。
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12フレットのインレイも「彩文」風にしています。
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ヘッドインレイはデラックス版。昨年度よりデザインと工法をわずかにリファインしています。
ボディ内部に軽くクリア吹き付けをしており、今後最終調整して、どんな音が出てくるか楽しみです。(音の反射は良さそう)


ウクレレ:U23「プリンセス・カイウラニ」
ハワイ王国最後の王女「カイウラニ」が明治の皇室と成婚していたら献呈したい楽器、というコンセプトで製作。
(当時、実際にあった縁談です。次回のブログネタ予定)
コアボディに桜の樹皮ピックガード。菊、クロス、ハイビスカスの花びらを取り込んだティアラ風のヘッドインレイ。飛翔する鳳凰を描いた指板インレイなどなど。
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裏面・ヒール部には白蝶貝を削り出したレリーフ。
波の音を思い出させる8弦仕様。コンサートボディサイズ/テナースケール。

実物を間近で見ていただかないと輝きの変化や微細なところが伝わらないと思うので、以上、むしろ淡々とした説明になってしまいました...。

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5月の東京/大阪での展示会では、ピックアップ追加等々して仕上げたものをもってゆきます。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 03:40| 展示会

2019年01月22日

「明日香匠の会」第一回新春作品展

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村内アピール、会員の親睦などを目的とするコンパクトな展覧会が、明日香村の犬養万葉記念館で開かれました(1/12-20)。

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なにせ第一回。記念館や教育文化課のご協力のもと、作家さんそれぞれの手持ちの作品が並び、今回は無事成功といえます。

また、いろいろな方ともお話しできて、良い機会になりました。

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私はテナースケール/コンサートボディのU23ウクレレ(2017年)を展示。
最終日は当番だったので、たまに弾いて遊んでいました。

なお、きたる2/23-3/3「明日香の匠」展(奈良県立万葉文化館)では、このタイプの新作(+ギター)を展示する予定です。

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南都明日香ふれあいセンター 犬養万葉記念館」は研究者の故・犬養孝氏の業績を顕彰する記念館。

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旧南都銀行明日香支店の蔵造り外観を残しながら、万葉集関連図書・資料、イベントスペースをそなえ、軽食も提供しています。
入場は無料で、「雨やどり、休憩だけでも大歓迎!」だそうです。

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大伴旅人(おおとものたびと)は万葉集の編纂者とされる大伴家持の父。
当時の官僚としてはメチャメチャ偉い人だが、高齢での作品が主であることもあってか、無常・厭世、そして洒脱なアルコール賛美といった作風が特徴で、なんとも惹かれる歌人だ。

以下の歌は経緯や前後の流れがあるので、単体で私なんかが上手に解釈・説明できないものの、旅人の作にこんなのがある。

許等々波奴 樹尓波安里等母 宇流波之吉 伎美我手奈礼能 許等尓之安流倍志
言問はぬ 木にはありとも 美しき 君が手馴れの 琴にしあるべし
(木という物言わぬ物質で作られていますが、これはきっとあなたという高貴な方が愛用する琴になるでしょう:そうして美しい音を発することでしょう)

万葉集でも数の多くない「楽器ネタ」の作者でもあったのですね。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 01:30| 展示会

2018年05月24日

2018展示会:大阪-東京

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拙ブースにお立ち寄りいただいた皆様、誠に有難うございました。
以下、長文ご容赦願います。
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サウンドメッセin大阪(ATCホール 2018.5.12-13)

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151FC(中央・新作・参考展示):新デザインのヘッド装飾、ベベルド・アームレスト、ホンジュラス・ローズウッドバック&サイド。

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アームレストでは、パフリングを添わせる加工が超高難度です。
加工や効果の検証については別の機会でご紹介します。

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「長大」「幽玄」を感じさせるホンジュラス・ローズウッドのボディサイドは、なんとなく横山大観の「生々流転」だなぁ、などと製作中から勝手に思っていました。

今回はいろいろまだ詰めたい所があったので「参考展示」としましたが、ダイナミックなサウンドが圧倒的。ヤングな試奏者の方から「エロい」との高評価をいただきました。いやぁ、この方向性は今後「バズる」かも。

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232FC(新作):シトカスプルーストップにミディアムブラウン木地着色。アームレスト部ラウンド加工。ネック側ボディサイドエンドピン。
きわめてオーソドックスなシトカスプルースですが、木地着色をすると個体によってまるで「藤棚」のような美しい模様が浮かび上がります。

U23W(新作):テナースケール、コンサートサイズボディ長、ダブルネック(4+8弦)、フィッシュマンPUx2・ステレオアウトプット。
今回の視覚的な目玉。ウケも上々でした。
4弦と8弦は曲やフレーズによって使い分けるのですが、「これ、どうやって(一人で同時に)弾くんですか?」という質問が多くありました。

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U2(新作):コンサート。セダートップ、ローズウッドバック&サイド。
U2(新作):コンサート。イングルマンスプルーストップ、オバンコール・バック&サイド。
オバンコールはお試しで使ってみました。音色はやや丸くマホガニー相当。材の柄・色味はちょっと珍しいと思います。

他に旧作の232(セダートップ)、U2B(琵琶シェイプウクレレ)も展示。
2日目は雨でしたが、ステージイベントも多く、来場者でにぎわった展示会でした。
閉会後、荷物を発払いで東京に直送し、一週間後に備えたのでした。

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東京ハンドクラフトギターフェス(すみだ産業会館 2018.5.19-20)

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幅1mブース。今年は斜め前に入口、イベントスペース直近の場所ということで、敵前大回頭!展示品の全砲門(?)をそちらに向ける配置をしました。

私にとっての東京開催の弱点は、「じゃあ、近々工房を見に行くよ」という話になりにくいところですが、プレイヤーや出版の方が多く来訪されるのでいろいろ参考になります。

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ヒロ竹之内さんは昨年に続き、ウクレレのオリジナル調弦などの示唆をいただきました。いずれその紹介や実演もしてみたいと思っています。

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お隣のWIZARD LEATHERさんはストラップ、ピックガードなどに華やかなカーヴィングを施す皮革製品工房。
実は私、革細工入門セットを持っていて、木づちをフレット打ち込みに使うなど、今も愛用している道具が多いのです。
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2日目はこちらの(ありがたい)事情で試奏していただきにくい個体が多くなったので、ニーダウンして時間を消化(アメフト用語だよ)。ちょっと申し訳ない気持ちが残りました。
とはいえ、内容的にいい感じでやりきった2つの展示会でした。

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翌・月曜は「マカロニほうれん荘展」観覧と聖地巡礼。(次回更新)

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火曜は東京国立近代美術館工芸館「名工の明治」。
2005年「万国博覧会の美術」(名古屋市博物館)では、明治前期の職人の気概・爆発的な対外エネルギーにあふれた作品群が素晴らしかったので、その感じを期待して行ったのですが...。

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鈴木長吉「十二の鷹」(1893)解説文より;(海外での)「日本美術ブームの終焉や、絵画・彫刻・建築を中心とする西欧美術のヒエラルキーが、日本の美術界にも浸透していきます。」 ...その結果、公的な伝統工芸の評価・展覧は停滞を迎える、という流れのようです。

そんな背景もあってか、それ以降の工芸品群はなんかこう、日本伝統工芸展受賞作のように技術はすごい(本当にすごい)が、思想や世界観・宗教観がズシンと響いてこない感じが個人的にしたのです。

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東京国立近代美術館「横山大観展」
あそうだ、既述の「生々流転」が見れるかも、ということで突入。ありました。

「生々流転」への順路直前に展示されていたのは、高さ20センチほど、長さ4メートルほどのラフなアイディア下書き「小下絵画帳」。
これが強力な前フリになっていて、続く「生々流転」では、湿度や自然の臭いを含んだ濃密な大気・空気感に一瞬で没入させられてしまいます。


<横山大観展:みどころ http://taikan2018.exhn.jp/highlight/
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大気から雨-川-海、そして雲に昇ってゆく水の一生・輪廻に、時間や季節を織り込んだ物語が、40メートルにわたって描かれています。メタクソ感動致しました。

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御茶ノ水に立ち寄ったのち、本人そして荷物も帰村。
あぁ、片付けが大変...。
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<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 16:31| 展示会