2018年12月14日

桔梗デザイン

2018121401.jpg
桔梗(キキョウ)の開花時期は6-9月。花言葉は「気品」「清楚」「永遠の愛」「誠実」「従順」などなど。
夏は飛鳥駅前にも植えられており、ウチの庭でも咲きました。色は青(紫)、白が多いです。
2018121402.jpg

気球のような袋の状態でふくらみ、やがて中央が割れ5枚の花びらが開き、次第に先がそりかえるのが特徴。
2018121403.jpg

多くの植物は花の中で雄しべと雌しべが受粉しますが(自家受粉)、キキョウは「雄性先熟」といって、雄しべが花粉を放ち終えたのち、雌しべが成熟して他の花の雄しべから花粉を受け取るそうだ。(今夏のNHKラジオ「子ども科学電話相談」で先生が言っていた)

雌しべ側からみれば潔癖ともいえるが、ありがちな青春恋愛映画とは真逆の、幼なじみを華麗にスルーしてしまうストーリーだ。

2018121404.jpg
[雄しべが広がる一方、中央の雌しべは閉じている]

また万葉集で5首ほど登場する「アサガオ:朝皃、安佐我保」はキキョウを指すそう。

2018121405.jpg
古来から親しまれているだけでなくデザイン性も高く、家紋の題材の定番。シンプルなイラストの場合、花芯や花びら内側の丸みの表現で変化が付けられます。

---
...そんなキキョウのデザインを指板に盛り込んだ、コンサートウクレレのオーダー品です。
2018121406.jpg

2018121407.jpg
何度もやりとりをしながらデザインを確定。
白蝶貝インレイ。柱頭は映え重視で赤に。

2018121408.jpg
ブリッジにも白蝶貝。さらにキキョウの葉(4.5x1.6mm)を計4枚ちりばめている。
一部は曲面へのインレイですが、元デザインからの再現もしっかり出来てますでしょ?
2018121409.jpg

今回初めて取り組んだのが、ボディの「スプーンカット」。
カッタウェイとくらべ、ボディの容積減を抑えながら、ハイポジションの演奏性向上をねらったものです。
2018121410.jpg

エレキギターをはじめ、他社/工房のウクレレ、ギターでも時折見られる仕様とはいえ、カットしたトップ側にもきっちり黒白黒のパフリングが入っているのが本ウクレレの特徴です。

豊かで芯のある単音を聴かせたいソロ演奏において、ナイロン、フロロカーボン弦との相性が抜群のセダー材トップ。ローズ・サイド&バック。4弦はローG。

ちょうどキキョウの開花時期だったので、興味深く実物を観察しながら製作できて楽しかったです。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 21:38| 製作

2018年09月04日

ベベルド・コンタ−

2018090401.JPG
右ヒジとギターが接触する部分の加工はエルボーカット、ショルダーレスト、ドロップトップ等々、いろいろな言い方があります。
特にアコースティックの場合、そもそも腕の内側・関節の部分なので、なくても演奏上は支障がなかったり、むしろない方が安定するという見方もあります。
ただ、あればあったで、ギターを構えた瞬間、ラクに感じるのも事実です。

ランニングシャツ、もしくは上半身裸で演奏する場合なども、具合が良いでしょうね。
(おぉっ!ミックとキースで見事に揃った)
2018090401b.JPG

後付けのパーツもいくつか市販されており、他の工房品でもシンプルなパーツを付けしたものが多くあります。
私の場合も、5mmのアクリル板を曲げてボディサイドに付けた実売例があり、実際これでも腕への当たりはソフトになります。鳴りに対する影響もほぼありません。
2018090402.JPG

ただ、後付けパーツは作った側からするとどうしても「後付け感」があり(当たり前...)、なにか他の方法はないかな、と模索してしまいます。

2018090403.JPG
まずは比較的にマイルドな加工例。これは当工房232モデルというおよそオーディトリアムサイズのボディに施したもので、通常のカドは2mm程度のRのところ、5-7mmのRになります。(232FC-2018-05-005)

そもそもボディが小ぶりで抱えやすく、これくらいで充分かもしれません。
トップとサイドの黒白黒パフリングを省略してないところもポイントです。
(材にもよりますが、オプションで1万〜2万プラスといったところ)

2018090404.JPG
次が「ベベルド・コンター」とも言われる、斜めに大きく切り落とされたタイプ。(ベベル:bevel=斜角)
もちろん弾きやすさは個々人の好みとはいえ、大きなドレッドサイズで、ストローク弾きが多い奏者にとってはフィーリングが良いかもしれません。

作る側からいうと、アコースティックギターではバインディングやパフリングがあるため加工が大変なものの、そういった処理を含め、嗜好や腕の見せ所でもあります。
テイラーのカスタム風のなだらかな変化も自然でよいですが、私は「ココ、加工されてますっ!」的なルックスが好みです。

2018090405.JPG
まずは、通常のバインディング、パフリング用の加工を先に済ませる。

2018090406.JPG
45度のドリルでカット。写真は工房用実験分・ひさびさ加工のためキレイではないので、自分の名誉のため(?)一部モザイクをかけさせていただきました...。

2018090407.JPG
あらかじめ曲げた板を貼り付け、トップとサイドにあわせて削り出します。

2018090408.JPG
トップのみならず、サイドの黒白黒パフリングもベベル部に沿わせ、通常のボディパフリングと律儀に連結させます。

2018090409.JPG
写真のギターはベベル部がフレイムメイプル、バインドは竹でした。
製作者によって手順はことなると思いますのであしからず。
2本目はそれなりにスムースに作業が進みます。

20180904010.JPG
とはいえ、きっちり仕上げるには非常に手間のかかる作業です。バインドやパフリングの仕様にもよりますが、今のところオプション見積もりはプラス3万から4万円としています。
お客様カスタム品の方は6月に本ブログで紹介しました。

―――
しばらくはこんな加工もないだろーなー、と思っていたら、今はこういうオーダー品を作っています。
ウクレレのスプーンカット加工です。
20180904011.JPG

<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 11:24| 製作

2018年08月02日

100円ウクレレ

2018080201.JPG
ダイソー、セリアでも基本的にモノは同じ。近くのセリアには写真左右の2色があった。
このテのものではディズニー柄のおもちゃを見かけるが、こちらはメチャメチャ小さくて(全長28p、弦長19p弱)、なんといっても100円。
弦は1&2弦、3&4弦がブリッジでつながっており、なかなかまともな調弦はできない。

意外にフレット位置は正確で、弦高もほどよく、ブリッジ後ろにはすき間があり、なぁんか可能性を感じる。

牛刀をもって鶏を割くなどイキではない。「最低限の加工」「一般的な弦を使う」というテーマをかかげ、作業開始です。

1.ブリッジの弦掛け加工
ソプラノウクレレ同様、弦を引っ掛ける方式にします。
弦はオーソドックスなGHS弦のソプラノ用。

2018080202.JPG
1弦‐4弦で26.5mm。弦間ピッチは26.5÷3で8.8mmが適切だ。
カッターなどで削り、玉むすびした弦が引っ掛かるようにする。
柔らかい樹脂なので、一回弦を通してサウンドホールから出し、引っ張ってクセをつけると、良い具合の幅になる。

2018080203.JPG
ピッチ角を付けるために、ここを斜めにけずるのもあり。

2018080204.JPG
サドルは0.5から1.0mm程度の厚みなら何でもよく、今回はバインディング用の白セルを切ったものにしました。
取り付けは完成直前でOK。


2.ストリングガイド加工
2018080205.JPG
ゼロフレット+ストリングガイドという仕様。おいおいモズライトのギターかよ。
ただ、ストリングガイドが高くて0フレットから弦が浮いているので、ストリングガイドに切込みを付ける。
1弦‐4弦で14.0mm。弦間ピッチは14.0÷3で4.6mmが適切だ。


3.ペグ
ツマミは表側に付いている。かんたんに引き抜けます。
しゃらくせぇ工夫はせず、そのまんま使いましょう。
弦を穴に通し、さらにペグを押し込むと、最低限のトルクが得られます。

2018080206.JPG
裏で弦を結びつけます。
あまった弦は短くして、先はライターであぶって丸くしておきましょう。


そうして完成!要領よく進めば、作業は30分程度か。
2018080207.JPG

通常のウクレレ調弦と同じにするのが、ネックの強度的にも安全です。
もちろんテンションはユルユル(特に3弦)ですが、とりあえず音程は出せます。

2018080208.JPG
木目柄シートはシールはがし液をつかって除去可能。音的には、はがさない方がマイルドです。
すると、こういうルックスになります。おいおいレインソングのギターかよ。
2018080209.JPG

こうなると、海、プール、お風呂でも使えるなぁ...はっ!

...。oо○ 回想 ○оo。...
20年ほど前・会社員の頃、樹脂製のウクレレペグ、ブリッジがリペアパーツにあったので、レジン(合成樹脂)でウクレレ本体を作ったことがあります。

2018080210.jpg
「レジャー用の耐水ウクレレ」を会社に提案し、周囲にはウケたものの、「んで、どこの工場で作んのよ、んあぁ?」みたいなことで、ボツになりました。
まぁ、そこを乗り越えるほどの「熱」も自分になかったかなぁ、と。

...。oо○ それはともかく ○оo。...

2018080211.JPG
酷暑の折、どうぞご自愛ください。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 14:45| 製作