2018年05月30日

「マカロニほうれん荘」展

時は週刊少年チャンピオン黄金期。連載は1977年春から1979年秋までのたった2年半、単行本9冊。
当時の小学校高学年から中学生くらいの年代を中心に衝撃を与え、今も熱烈なファンが多い「鴨川つばめ」の伝説的ギャグ漫画『マカロニほうれん荘』。

スピードとリズムがみちびく直感的な展開でありながらも、内容と作画は濃密。
私にとって「マカロニ」は何度読んでも新しい発見がある唯一無二・至高の作品だ。

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「マカロニほうれん荘展-MACARONI IS ROCK!-」が、5月19日から6月3日にかけて、東京・中野ブロードウェイ内のAnimanga Zingaroにて開催されています。

年1回だけ東京にいるタイミングでの開催!なんという僥倖!いや、トシちゃん感激!というべきか。
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5/21月曜昼。白髪が隠しようのないほど増えてきた50代前半のワシら初老達が狭いギャラリーにひしめく。女性も1-2割。

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まずは、原画の状態が予想以上に美しいことにおどろかされる。どの線もこまかく、丁寧だ。
鴨川さんはほとんど一人で原稿を書いていたので、背景も服の柄もすべて本人の筆によるもの。なんと当時20歳(19かも)くらい。

絵描きさんだから絵が上手いのは当然なのでしょうが、それにしても修正が少ない。(Twitterによると、マンガの原画マニアもそう感じたらしい)

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マチエール/画肌というのだろうか、単行本では伝わらない描き込みも確認できる。

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油の乗った時期以降は力強く・そして流ちょうな線画が特徴だが、きっちり計算/設計されたものであることがうかがえる。

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単行本でみると、コマ割りの直線にブレが散見されるのだが、たしかに原画では直線やカドの白修正がとても多い。躍動感を表現するうえでハミ出した線などを修正していたのでしょうね。

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1978年11月『水の中の太陽!!』は「火」をテーマにフルカラー&2色カラー印刷を生かした後期の傑作回。旅順港閉塞作戦にて軍神広瀬が杉野を捜索する名シーン、のパロディ。


展示された原画は、スタートから1978年秋の2週休載までのものが多い印象で、絵が荒れた終末期の原稿はわずかでした。
「BSマンガ夜話」(2002)において、江口寿史が「これでも(連載を)落とさず書くっていうトコが...、真面目なんですよねぇ」とコメント。
次の機会があれば、ファンとしては最終回の原稿も見てみたいところです。

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30年近く前、西武新宿線「井荻」に行き、今でいう「聖地巡礼」を敢行したのだが、当時は情報が「井草3」しかなかったので、散策して、駅近くで冷やし中華を食べて帰ることになった。
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そしてネットの時代。ほうれん荘のモデルとなった下宿があること、それは井草3丁目・旧早稲田通りから近いこと、そしてその下宿は空き家として2018年の今も現存していることが分かったので、原画展のあと、聖地巡礼に出かけることにした。

おぉ!ついに悲願成就!
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実際の建物をみると、こんな場面の迫力も増幅されます。
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数年前と比べて、南側の駐車場がマンションになっており、あまり近くには行けない。
参考個人サイト:マカロニほうれん荘 探訪 

ちなみにこちらが、原画展にあった鴨川つばめ撮影の資料写真。
なお、連載1年目の1977年夏以前にはもう転居していたようです。
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アシスタントが手伝っていたらこんなにピュアな原画展も成立しないし、作品のテンション感も全く別のものになっていたでしょう。
作家・鴨川つばめが完全燃焼したからこそ、ここまで愛され続ける作品となったわけで、ばくぜんとした表現ですが、私はここに「作家性」の尊さを感じた次第なのでした。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 16:24| 日記