2020年11月15日

GoTo野迫川村

私の住む明日香村の人口は5500人。とーぜん、いわゆる「消滅可能性自治体」というヤツに該当する。この刺激的なフレーズに対し私はこう言いたい。

「“消滅”ってヒドいよな、野迫川(のせがわ)村」
「20-39歳女性の人口増減を第一の指標にするなんてどうよ、野迫川村」
「提言元の増田寛也って、公表の2年後に都知事選に出とるやん。どう思うよ、なぁ、野迫川村」
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島イコール村という自治体を除くと、奈良県野迫川村の人口は最小クラス(広報では355人、213戸)。島を含んでも10位以内に入るほど。
過疎の原因は「交通の便が悪い」ことに尽きる。

他の奈良県の住人からみても特殊な存在なようで、野迫川村で育ったとか友達がいることが会話上の大きなアクセントになり、それは私にとって何やら崇高であることのようにさえ響く。
そんなわけで野迫川村に行ってみることにしました。目的地は「ホテルのせ川」。
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仮に、五條市大塔(おおとう)から県道53号で高野山方面に進むとか、和歌山県に出て国道370号を使うルートもあるが、2車線化できていない区間も多少あるようだし、

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和歌山県橋本市から国道371号で南下するコースもあるとはいえ、やはりこんな「酷道」が。
そこで今回は京奈和自動車道で奈良県御所(ごせ)からズバーンと和歌山県かつらぎ西ICまで行き、そこから国道480号に乗ってまず世界遺産・高野山へ向かう。大阪方面からの定番ルートだ。

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観光バスが行きかう曲がりくねった山道を抜け、高野山を通過。
さらに国道371号「龍神スカイライン」に乗って南下。ここまでずーっと和歌山県。

ナビによっては「野迫川村役場方面にそれて、県道733号を南下」と出るが、ここはホテル側の案内どおり鶴姫公園手前まで走り、「林道タイノ原線」に入る。

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りっ、林道!名前カタカナ!...とはいえ、それなりに道幅や退避スペースもあり、ある程度対向車に注意すれば10キロほどでホテルのせ川に到着。
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標高約700メートル。走行距離は約95キロでした。(直線距離約45キロ)

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全室和室で「川」ビュー。目の前は野迫川...ではなく川原樋川(かわらびがわ)。「野迫川」は1889年の発足時の合成名だそうです。(野川組、迫組、川並組)

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まるで高橋由一の油絵から抜け出してきたかのような雰囲気の一夜干しは、朝食メニューに出た地元のアマゴ。
サケをこの上なく上品にした美味で、これによりアマゴは私の好きなサカナ・トップ3(他サンマ、アユ)入りを確定させたのであります。
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鶴姫公園から1キロ先にあるのが「鶴姫公園展望台」。
以前、ラジオで登山家が言っていた「信州の山は高い、紀伊半島の山は深い」という言葉を実感できました。

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野迫川村役場。野迫川村も五條市に入っちゃえばと思いがちだけど、市会議員にとって票集め上メリットにならないので動かないという説もあるし、なにより地元住民が編入に反対している。

となりの大塔村はすでに五條市に組み込まれたが、紀伊半島大水害もあって人口は8年で50%以上減少したとされる。
行政の効率化とは別に、自分の周囲の住民がじわじわ減ってゆくのを押しとどめたい、という気持ちは理解できます。

ホテルのスタッフであっても、村民は少ないそうです。民宿は地元の方がされているそうですが。
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ところで、野迫川村までの全行程で一番の田舎道は、

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明日香村の自宅近辺なのでした・・・。

<以上:明日香弦楽器
posted by Satoshi Orisaka at 22:45| 日記

2020年11月01日

第72回正倉院展

…に先立つ7/4-9/6の期間、奈良国立博物館にて「特別展 よみがえる正倉院宝物:再現模造にみる天平の技」が開かれました。
おなじみの五絃琵琶などの模造品の展示に加え、細かい技法の解説にも重点を置いた好企画でした。
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こーゆー部分も明瞭で、とても勉強になります。
(図録より)

入場者が少ないので落ち着いて見ることができ、適当なうんちくを奥さんにエラそうにしゃべるオッさんもいなくて、良い展覧会でした。

そういや以前、大和文華館に行ったときのこと、オバさん3人が絵画の前で真剣に対話しているので聞き耳をたてたら、
「うんうん、そうそう、それでゴマ油をね、…」って言ってて、コケそうになったことがある。

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五絃琵琶のミニチュア・フィギュアも買えたし、満足です。(後ろに写っているのは、中学生の頃に作った紙製ミニチュアだよ)

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そして本年度の正倉院展。
当日券発売はせず、枚数限定・前売り日時指定券必須というシステム。(発売日が、地元の草刈り作業日だったので大変でした)

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今年は刺繍モノが印象的でしたねぇ。写真では精緻さが伝わりませんが、これは幅7センチのベルト。(「紫皮裁文珠玉飾刺繍羅帯残欠」)

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「孔雀文刺繍幡」も退色があるとはいえ、刺繍部分はほころびもなく、絹のツヤもじゅうぶん残っていて華麗そのもの。

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今回の展示ではないが、個人的には「花喰鳥刺繍裂」という作品が大のお好みです。(写真の色味をちょっといじってます)
これは全世界/全時代共通の吉祥モチーフ「花喰鳥」(ここでは鳳凰)が、花を喰い過ぎたせいか(?)全身の羽毛が花みたいに、クジャクみたいになってしまうという、絢爛にしてどこか悪夢感がただよう傑作アートといえましょう。

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「烏犀把漆鞘樺纒黄金珠玉荘刀子」の刀身(20センチほど)。いーカーブだなー。人工的なベジェ曲線で作り出すカーブとは微妙に違うんだよなー。
ろっ骨の下のあたりのお腹に、コレで5秒くらいかけてぷすーーっと刺されたら恍惚の気分だろーなー、なわけないかなどと考えてしまう。

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もちろん撥弦楽器も(「紫檀槽琵琶」)。全体の造りは簡素だが、皮製の撥(ばち)受け部分に2羽の水鳥と襲いかかるハヤブサが描かれている...らしい。
経年劣化って工芸上扱いがむずかしいポイントですね。

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入場者は例年の5分の1程度(印象)とはいえ、展示品はスター級のものが例年と同じくらいあったので、いろんな点でゆっくりじっくり鑑賞できました。

<以上:明日香弦楽器
posted by Satoshi Orisaka at 22:40| 日記