2019年05月31日

横浜・文身歴史資料館

文身(ぶんしん)とは、刺青(しせい)、入れ墨、彫り物、タトゥーのこと。

・魏志倭人伝/後漢書東夷伝において、倭人は「男性は大人も子供も、みな顔や体に入れ墨をしている」とある。
・谷崎潤一郎のデビュー作「刺青」。ローリング・ストーンズの快作アルバム「刺青の男(TATTOO YOU)」。
・おしゃれ系ワンポイント単色タトゥーのデザインは、楽器インレイへの転用にとても向いている。
・男性の全身和彫り、女性の振袖/小袖など、肉体よりアートが優越する日本人の美意識。

そういえば私が30年前に行った自動車免許の合宿では、ルームメイトに全身ガッツリ和彫りをした人がいて、見るような見ないよう感じで2週間を過ごしました。

こういった興味から、ぜひ手書きの下絵など見てみたい。また絵柄の源流/元ネタなど探ってみたくなったわけです。

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横浜駅からほど近いビルの1階が文身歴史資料館で、2階は「三代目彫よし」仕事場となっている。

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すっごく狭いドアが入口。入ると「三代目彫よし」の奥様らしき方が「入館料1000円いりますけどいーですかぁ?」と丁寧に確認し、喜んで払うと記念のピンバッジをいただける。

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内部は一見、狭く雑然としているが、古今東西の資料が大量に網羅されている。その他関連工芸品、オブジェも。
驚いた!これはまさに「歴史資料館」だ!

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中国の史書のほか、土偶からも「倭人」と刺青の関係の深さを知ることができる。

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その後、儒教の伝来などにより刺青はすたれ、江戸時代になると入れ墨が刑罰として確立される。

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日本における刺青人気のきっかけとなるのが、1700年代の読本「本朝水滸伝」などによる「水滸伝」ブームで、さらに1827年発表の歌川国芳の錦絵「通俗水滸伝豪傑百八人」の爆発的ヒットにより、現代につづく「和彫り」のモチーフが確立する。

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108人の豪傑が登場する水滸伝最初の主人公は「九紋竜」入れ墨の「史進」。豪傑、アウトロー、義侠のイメージに、錦絵の華やかな入れ墨ががっちり一体化されたわけです。

和彫りのデザインには他にも不動明王、般若などがありますが、このように、図柄の源流は歌川国芳あたりの錦絵、と見てよいようです。
カラフルでグラデーション表現の美しい錦絵がお手本であるがゆえに、「ぼかし」という和彫りの特徴は表現上の必然とされる技法だったのでしょう。

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飛脚、大工、火消しなど、肉体露出系労働者に大流行。

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和彫りの下絵。

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こうなってくると、高倉健の唐獅子牡丹はむしろチャーミングに見えますね。
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アイヌ民族では刺青が習俗として定着していました。

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ポリネシアを中心とした南洋系の複雑な柄は、「トライバル・タトゥー」としてくくることができます。
ちなみに「タトゥー」の語源はタヒチ語の「TaTau(タタウ・叩く、の意)」です。

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エジソン発明・タトゥーマシンのレプリカ。アメリカのタトゥーは「オールドスクール」「アメリカン・トラディショナル」などと呼ばれる。ポパイも腕に入れてますよね。

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生身の本物を見たらさすがにしぼむが(何が?)、小説「刺青」にいう「光輝ある美女の肌を得て、それへ己れの魂を刺り込む」のは印象的なシーンなのですねぇ。

刺青を文化的なものとして周知・認識させるため、執念を感じるほど熱心に蒐集された資料の数々。魂のこもった施設でした。
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打ち合わせに来ていた、既にいっぱい刺青を入れているザック・ワイルド似のメキシコ人から「お前もタトゥーを入れに来たのか?」と聞かれた。
いやボク、痛いのムリだしぃ、近くのスーパー銭湯に行けなくなるしぃ...。
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<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 21:23| 日記

2019年05月25日

2019展示会:大阪-東京

拙ブースにお立ち寄りいただいた皆様、誠に有難うございました。

参考までに、会場で配布したフライヤーです。(PDF形式、1.61MB)

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サウンドメッセin大阪(大阪南港・ATCホール 2019.5.11-12)

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とってもいいブース位置。ただ、特に1日目の土曜はエレキギターゾーンの活気(?)が凄まじかったです。

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左端は昨年に参考出品した151FC。右端は今年2月の「明日香の匠展」に出品した232FC。

中央は今回初展示「232FC "クラシック"」。アコギのプレイヤーを対象にしながら、クラシック風味をなるべく残した、当工房はじめてのエレガットです。

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47mm幅ナット、400R指板。ジャーマンスプルーストップにショルダーレスト加工。
ピックアップはLRバッグスの「リリック」を搭載。トップのブレイシングもクラシックスタイル(ダニエル・フレデリッシュ風)なので、レスポンスもきっちり「ナイロン弦らしさ」が出る音となっています。
(後日、詳細紹介予定)

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2月の「明日香の匠展」に出品した8弦テナー「プリンセス・カイウラニ」はピックガードをノーマルな透明つや消しに変更して展示。
小さい楽器・細かい装飾だけに、さすがにお客さんを立ち止まらせるほどの目立ちかたはできなかったかも。

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初展示「U01」はソプラノスケール、ミニボディのウクレレ。極薄オープンポア・つや消しフィニッシュ、ワース弦仕様で、チャカチャカと軽やかな鳴りを目指したモデル。
2017年のオーダーモデル(蝶の指板インレイ:ブログ記事)と同時期に製作が開始され、今年、塗装と仕上げをようやく完成させたものです。

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おやゆびピアノ・限定製作カラー「ピアノブラック」。面白がって作りはじめたものの、塗装/研磨が手間でまぁ〜面倒この上ない!
15個作って大阪2日間で5個販売。初日は置く場所も悪かったとはいえ、はたして、次の東京で無事売りさばくことができるのか!?

2日目の会場は会話できる程度には穏やかになりました。
一般のギター愛好家やお店、卸、教育、出版などの関係者が集まるなか、香港から来た方で「私、コレクターです」という肩書の人もいました。
いろんな方が来られるので、やはりブレず、気を抜かずに臨まないといけないですね。

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東京ハンドクラフトギターフェス(錦糸町・すみだ産業会館 2019.5.18-19)
幅1メートルの狭いブースに、新作たち+旧作コンサートウクレレ1本を詰め込んでみました。

左隣りは大阪の「オフィシャル・レザイン・プロダクツ」さん。
右隣はローランド/マクロスさんの切削加工機。常時デモ稼働していたが意外と音は小さい、とはいえずっと「ソ」の機械音が鳴りづづける、とはいえ近辺は人の集まりが良い、という状況でした。

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さて、おやゆびピアノ「ピアノブラック」は2日目午後に完売! 最後の1個はウクレレ講師のヒロ竹之内さんに。
空いたスペースには、指板に鳳凰をあしらったU23/8ウクレレ用に、とっておきのPOPを掲示してみました。

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「奉祝」...改元、ほど抽象的でもなく、陛下、っていうほど右傾的でもない、適度な言葉なので使ってみたかったのです。
えらいもんで、これを掲示すると「写真を撮らせてもらっていいですか」とか「えっ?触っていいんですか!?」というレスポンスが来たりします。

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そんなこんなで大阪−東京の展示会が終了しました。
明日香弦楽器の製品に興味を持っていただけたお客様は、気軽にご連絡くださいませ。(メルアド1メルアド2

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おのぼりさん、すぐには帰らない:東京フェス後の行動です。
5/20月曜:横浜・三菱ものづくり技術館―横浜美術館―★文身歴史資料館(後日掲載)
5/21火曜:五反田「ザ・ローリング・ストーンズ展」
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 20:13| 展示会