2019年04月01日

ロゼッタ用インレイ加工

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ロゼッタ/口輪に使うインレイは、加工済み品を大和マークから入手できます。
ラインアップにない寸法(幅、内径/外径)やその他素材でも、特注で加工してもらえます、が、多少お高くなります。

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ギター製作参考書の定番「guitarmaking; TRADITION AND TECHNOLOGY」には加工の方法が紹介されており、今回はこれを参考にしながら、自分なりの冶具を作ってゆきます。

なお、大和マークのパーツは断面の感じからして、今回とは別の、もっと効率的な加工法によるものと思われます。
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まずは内側を削るパーツ。ボール盤用の自由キリで円盤を作り、軸と布ヤスリを取り付ける。

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貝は20mm幅に。台座のガイドに沿わせながら、内径をけずってゆく。けっこう簡単。

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外側はいったん糸ノコで切りだす。

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1.5mm厚のインレイを固定するパーツを作る。

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そして台座に設置。外側の半径を支点に、回しながら外側を削ってゆく。
希望の寸法にするには、台座位置の微調整がそうとうに必要です。

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そうして、ようやく完成。

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使用例1;ギター用、アバロン緑・ラミネート、幅5o。内径58.5R。
大和マークでも同サイズ品はあるが、ラミネートではなく1枚貝。なので、自然な美しさがあるものの、削りすぎると色味が変わるので注意、そして値段が高い。
自前のものは緑の色味が安定的かつハデで、安くできる、というメリットがある。

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使用例2;ウクレレ用、白蝶貝、幅3.0mm。内径31.7R。
今まで1.5mm幅しかなかったので、今後はアバロンなども使用してより華やかな口輪を作れるようになります。

そんなわけで、工房の加工技術がほんのちょっと進歩した、というお話しでした。
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新元号「令和」が発表されましたね。典拠は『万葉集』だとか。

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日本最初の元号「大化」が生まれ、万葉集とのゆかりも深い明日香村周辺のソメイヨシノは満開直前。
世間では10連休も控えているそうですが、大阪/東京での展示会の準備に加え、ご当地楽器「おやゆびピアノ」の充填などでドタバタしています。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 11:53| 製作

2019年03月07日

プリンセス・カイウラニ

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先日の「明日香の匠展」に出したテナースケール/コンサートボディの8弦ウクレレ。
ウクレレの機能・サイズ感・美しくもはかない音色は大好きですが、行ったことすらないハワイに強い思い入れがないこともあって、これまであえてコア材を使っていませんでした。

今回のブラックコア材ウクレレの製作にあたっては、「日本:ハワイ」の関連性を大上段から振りかざしてみることに。
旧ハワイ王国「カイウラニ王女」への献呈品を想定し、さらに本年5月の「即位」というイメージを加えてみました。
(なお私自身、特に右/左派的な志向はありません。)

[指板部デザイン参照元:正倉院宝物/金銀平脱背八角鏡、中原哲泉筆/菊御紋鳳凰菊唐草文花瓶下図、大正天皇即位時の八稜鏡形鳳凰文ボンボニエール]

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音出し調整はまだです。多少手直しをして5月の展示会にもってゆきます。

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カイウラニ王女についての解説はてっとり早く;
Wikipedia(日本語)  Wikipedia(英文)

郷土が大国に飲み込まれる過程に生き、日本との縁もあった、悲劇の王女というわけです。

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カイウラニの和装写真。1898年撮影。


2009年の伝記映画「プリンセス・カイウラニ」はロマンス要素を入れつつも、史実はきっちりフォローしている作品です。映画全編。字幕なし。
(日本の話は出てきません。)

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以上、で今回は終わっても良いのですが;

私の父方の曽祖父は松江からハワイに移民して、まもなくカリフォルニアに移り(記録上は1902年渡米)、1922年に松江に戻っている。
子供の教育のためとか、男の跡継ぎができなかったから帰国したと聞いていますが、おそらく、当時は日系移民にとってお先真っ暗な社会状況だったのではないか、と。

そんなこともふくめ、ハワイ/カイウラニ/日本関連をごく私的に整理した年表です。

・先史時代
・1778年 ジェームズ・クック来航
・1795年 ハワイ王国建国
[1867年 日布親善協定]
[1871年 日布修好通商条約締結]
*1875年 カイウラニ出生(母・ハワイ皇族、父・イギリス人実業家)
*1881年 カラカウア王来日。カイウラニ王女と山階宮定麿王との婚姻を明治天皇に提案
[1885年 日本からの官約移民開始]
*1889年 カイウラニ、イギリス留学
[1890年 カリフォルニア州への日本人集団移民開始]
・1893年 現地アメリカ人によるクーデター。ハワイ王国滅亡。臨時政府成立
[    日本、邦人保護を理由に軍艦2隻を派遣。(艦長は東郷平八郎)]
*    カイウラニ、訪米。ホワイトハウスにて大統領と面会(併合反対を主張)
・1894年 ハワイ共和国成立
*    リリウオカラニ元女王、カイウラニにカヴァーナナコア元王子、他ハワイ皇族または小松宮彰仁親王いずれかとの婚姻を提案
*1897年 カイウラニ、ハワイに戻る
・1898年 アメリカ自治領化。(準州/territory)
*    カイウラニ、カヴァーナナコア元王子との婚約を発表
*1899年 カイウラニ病死(23歳)
[1906年 アメリカ政府、帰化法を改正(日本人の帰化拒否)]
・1959年 ハワイ州成立

1894年の小松宮彰仁親王(のちの陸軍元帥。当時48歳)との縁談については英文Wikipedia記述情報。夫人との間に子供ができなかったことも勘案されたのだろうか?

カイウラニは憂国や献身の気持ちがとても強かった人なので、日本の時世しだいでは(鹿鳴館的な欧化時代をすっとばして軍拡してたら、とか)皇室とつながった可能性もなくはなかったように想像してしまいます。

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ハワイはネイティブの人口が歴史的に10-30万人程度であったり、もともと国家の概念のない諸島であったりするのですが、いろいろ知ってしまうと、リゾート、エンタメといった表面的なイメージに対して、私は「なぁんだかなぁ...」と思ってしまうのです。

楽器製作ではそんなことなど考えない方が良いのでしょうが(アロハでも着てニコニコしながら作っている方がウケも良いと思う)、以前からのわだかまりと向き合いたかったので、今回のウクレレ作品はあえて大げさに取り組んだ次第なのでした。

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<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 02:18| 製作

2019年02月24日

明日香の匠展2019

2月23日から3月3日まで、県立万葉文化館にて開催されています。(入場無料)
https://asukamura.jp/takumi/artist.html

県立万葉文化館は昨年末の奈良新聞においてけっこう強めのディスり記事(ハコもの行政批判等々)が掲載されたこともあり、地域ではちょっと話題になっています。
公共の施設なんてどこも事情は同じようなモンじゃないのかなぁ、とは思いますけど、開会式での館長祝辞では内容のほとんどが記事への激アツな反駁となっていて、それはそれで興味深く聞かせていただきました。

他の作家さんの作品は、例年以上に力を入れたものが多い印象でした。
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ギター&ウクレレの新作を展示しました。

ギター:232FC
シトカスプルース・トップを黒で木地着色。
アクセントとして付けたピックガードは正倉院宝物の透かし彫り「彩文(さいもん)」柄をモチーフにしたもの。
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12フレットのインレイも「彩文」風にしています。
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ヘッドインレイはデラックス版。昨年度よりデザインと工法をわずかにリファインしています。
ボディ内部に軽くクリア吹き付けをしており、今後最終調整して、どんな音が出てくるか楽しみです。(音の反射は良さそう)


ウクレレ:U23「プリンセス・カイウラニ」
ハワイ王国最後の王女「カイウラニ」が明治の皇室と成婚していたら献呈したい楽器、というコンセプトで製作。
(当時、実際にあった縁談です。次回のブログネタ予定)
コアボディに桜の樹皮ピックガード。菊、クロス、ハイビスカスの花びらを取り込んだティアラ風のヘッドインレイ。飛翔する鳳凰を描いた指板インレイなどなど。
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裏面・ヒール部には白蝶貝を削り出したレリーフ。
波の音を思い出させる8弦仕様。コンサートボディサイズ/テナースケール。

実物を間近で見ていただかないと輝きの変化や微細なところが伝わらないと思うので、以上、むしろ淡々とした説明になってしまいました...。

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5月の東京/大阪での展示会では、ピックアップ追加等々して仕上げたものをもってゆきます。
<以上>
posted by Satoshi Orisaka at 03:40| 展示会