2019年08月25日

オープン・ワークショップのご案内

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明日香弦楽器:オープン・ワークショップ
棚田を彼岸花が美しく彩る時期に、ふらっと気軽に工房にお立ち寄りいただける機会をご用意します。

2019年9月23日(祝) 午前10時から午後5時まで
奈良県高市郡明日香村上居575 (グーグルマップ)

通常でも、ご訪問は予定日時のご連絡をいただければ歓迎しておりますが(当日希望ですと外出していたり、作業で電話・メールをチェックできなかったりするもので)、この日の特徴は下記の通りです。

・旧作を含め手持ちのギター/ウクレレのほとんどを展示し、試奏いただけます。(ギター、ウクレレ各10本弱)
・ご来訪はアポ不要・時間はいつでも結構です。
・ご希望があれば、製作や塗装などの部屋もご案内します。

・販売/受注目的ではないので、気楽にどうぞ。
 もし購入やカスタム製作のご相談があれば、特別な価格を含めご案内いたします。
・5月の東京/大阪展示会以降の新作は置いていません。

・お車でお越しの場合、「上居集会所」前の広場をご利用ください。山道は対向車にご注意ください。
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 石舞台古墳(バス停、有料駐車場あり)から徒歩の場合、高低差50m、10−15分の上り坂です。
 速足だと多少疲れる道です。景色を楽しみながらゆっくりお登りください。

それでは、里山の築73年の家ではありますが、気軽にお越しくださいませ。

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地味ではありますが、以前からやってみたかった工房開放企画です。

2年前の冬にあった「明日香の匠展」付随「作家さんに会える!工房見学」。あの壮絶にスベった悪夢がよみがえらなくもないものの(来てくださった方々、救われました...)、今回の企画は「この時期の棚田と彼岸花のコントラストは最高ですよ!」というご紹介の意味もあります。
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ホントは9/21、22の「飛鳥光の回廊・彼岸花祭り」に合わせたかったのですが、ウチの集落は21日が共同草刈りの日で、過酷さによっては疲労で翌日もブッ倒れている可能性があるので23日(祝)にしました。 
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とはいえ、彼岸花のピークは毎年25日前後なので、散策にはより良い時期といえます。

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木工や塗装関連スペースのほか、

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妙な試作やテスト品が転がっていたり、

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特にご案内はしませんが、ヒミツの屋根裏部屋もあったりします。(年に数回しか入らないけど...)

村長選挙の公示が9/24なので、それ以降は村内、ちょっと騒がしくなるかもしれません。(現職vsなにかと謎の女性経営コンサルタント)
<以上:明日香弦楽器
posted by Satoshi Orisaka at 23:58| 展示会

2019年07月08日

いぼたろう

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先日、和楽器の製作をしている方とお話しをする機会があった。

「ところで、桐製の琴の塗装には何を使っているんですか?」
「『いぼたろう』です」
「あー、いぼたろう、ですか。はいはい」

...と返したものの、さぁーっぱりわからない。
イボイノシシの子供(うり坊)だろうか...。
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イボタ蝋(ろう)は、モクセイ科のイボタの木に寄生する、イボタカイガラムシの分泌物を精製した蝋。
古来からある高級艶出し剤で、家具・日用品・楽器のほか、敷居の滑り用などにも使われるそうです。

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通販でも入手可能で、固形タイプのものと、粉末タイプがあります。
固形・敷居滑り用の「丸徳イボタ」は77gで550円。粉末(粒状)タイプは100gで2160円。

そしてこのイボタ蝋と「うづくり」という道具を使う「浮造り(うづくり)磨き」なるものがあるらしい。また、またぁ未知の単語が...。

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もぉ我慢できない。衝動のおもむくまま、ウチからクルマで17分の桐専門製材所に突撃し、いくつかの桐材を入手しました。

ホームセンターでも桐材は売っていますが、あれは中国産で、冬目(固い部分)がないもの。
国産材も流通しているが、多いのはアメリカ東部産で、質も十分に良いそうです。
その昔、華僑が良い苗木を中国から持ち込んだとのこと。

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なお、製材所ではこういった茶色い、細かい粉末のイボタ蝋が使われていました。

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こんな杢(もく)の入った桐材もあるんですね。なんてステキ。

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持ち帰りの際に、小さめの端材を紙袋に入れてくださいました。
なんか、本場仕込みの高級フランスパンに見えなくもない。

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「うづくり」は通販サイトのモノタ蝋、じゃなかった、モノタロウで入手。
ナイロンブラシ+電動ドリルでも加工できるし、ドラムサンダーのようなうづくりマシンを使っている工場もあるようですが、今回はあえて手作業で、イボタ蝋を使いながらゴシゴシ。

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すると写真右上側、やわらかい夏目が削り落とされ、こんな仕上がりになる。渾身の力はいらない。

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軽く焼きを入れたあとにうづくり加工をすると、こんな具合。板目/柾目によって、風合いがかわります。

そんなわけで、ほんのちょっとだけ昔ながらの技法に触れてみた次第でした。
<以上:明日香弦楽器
posted by Satoshi Orisaka at 02:21| 製作

2019年06月11日

232FCクラシック

クラシックギタリストが主人公の平野啓一郎「マチネの終わりに」。
本をざっと目で追ったかぎりでは、「オレの愛器・〇〇!」的なプッシュはなく、たしか、スモールマンは合わなかった、フレタ、フレデリッシュは地震の時も無事だった、みたいな表記がわずかにあったような。(いいかげんな情報です。あしからず)

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11月公開の映画で使われているギターは現時点でモデル不明だが、最近公開された写真では松/スプルーストップっぽい。福山雅治ライブではアントニオ・マリン・モンテロ(杉トップ?)使用、との説も。去年の紅白で使っていたのがそれかも。
現時点の広告ではギターの露出はゼロ、とはいえ、まもなくクラシック/ナイロン弦ブームが来るかもという希望的観測が楽器業界にはあります。

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兵庫県川西市立東谷中学校の第2理科室から聴こえてきた音色にひかれてギタークラブに入部。中学2年でアコギをはじめつつ、以来、大学の部活でも熱心にクラシックギターに取り組んでいた、つもりですが、
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1987年頃の部活練習中の写真。チョケて、周囲の嘲笑を喰らってますねぇ...。

工房スタートにあたり、純クラシックの製作は考えていなかったものの、ヘッドは最初からエレガットに転用しやすいデザインにしていました。

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そして今年、「クラシックギター」らしい雰囲気を残しながら、アコ、エレキ奏者にとって弾きやすく、プラスアルファも盛り込んだエレガット「232FC "Classic"」を製作。

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ヘッドはもちろんスロッテッド。装飾は落ち着いた輝きの「黒蝶貝」をシンプルに入れました。
この上なく丁寧に木部の加工/調整をしたので、ペグの回転もきわめてスムースです。

ナイロン弦でも一般にネック反りは発生しうるので、アコ同様アジャストロッド+カーボン2本をネックに埋め込み、ヘッド側で調整できるようにしています。

ナット幅は47mm。1−6弦ピッチは38mm。
43mmくらいの方が個人的には好みなのですが、いろんな方に仮加工したものを試してもらった結果、細いのはかえってエレガットらしくないという意見が多かったのでした。

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トップ材はジャーマンスプルース。ブレーシングはダニエル・フレデリッシュのスタイルを少々取り入れた、クラシックらしいファンタイプ。
えらいもので、これによりトップ鳴りというか弦のレスポンスがしっかりクラシックギターのテイストになります。

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クラシックらしい外観/仕様は残す一方、400R指板に合わせて、ブリッジにもRがついている。
サドル側の弦ピッチはアコと同様、1-6弦で55mmです。

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5mm幅のベベルド・コンター、フローレンタインカッタウェイ、ボディサイド側ストラップピン、14フレット位置ジョイント、1弦のみ延長指板・24フレット、といった所が特徴。
ピックアップはL.R.バッグスのリリック。トップ鳴りを上手に拾っている印象です。

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塗装は通常のアコと同じポリウレタンを気持ち薄めに。シェラックやラッカーも検討しましたが、手入れがしやすく、どんな演奏環境でも安心して扱える点を重視しました。
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ともかくは演奏性や音も良い具合に仕上がり、「宿願」みたいなものが叶って私は結構満足しています。
これを基本としたカスタムもお受けいたしますので、気になる方はご検討ください。
<以上:明日香弦楽器
posted by Satoshi Orisaka at 23:35| 製作